FGM-148 Javelin FGM-148ジャベリンはアメリカ陸軍のFGM-77ドラゴンの後継としてテキサス・インスツルメント(現レイセオン)とマーチン・マリエッタ(現ロッキードマーチン)によって開発された携行対戦車ミサイルである。非常に高性能なため、陸軍だけでなく海兵隊にも採用され、世界各国に輸出されている。 開発は1983年からAAWS-M (Advanced Anti-Tank Weapon System - Medium:発展型中距離対戦車兵器システム) として陸軍によって開発要求が出され、3社による競争の結果1989年には開発メーカーが選定されて正式な契約が結ばれた。1994年から初期低率生産が開始、1996年にアメリカ陸軍に配備された。 ジャベリンはCLU(Command Launch Unit)と呼ばれる照準ユニットと、使い捨て式の発射筒、ミサイル本体からなるLTA(Launch Tube Assembly)、BCU(Battery Coolant Unit)と呼ばれる冷却ユニットから構成されている。 CLUにはメインの画像赤外線サイトとサブの光学サイトの2つのサイトが装備されている。メインのサイトには赤外線画像が内部のCRTに映し出され、4.2倍と9.2倍の切り替え式となっている。このサイトは夜間や悪天候時にも使用可能で、内蔵されているリチウムバッテリーの稼働時間は3時間程度だという。昼間用の光学サイトは倍率が4倍の単なるスコープで、バッテリーを温存しつつ監視を行う場合や補助用として使用される。 BCUには発射前のミサイルに電源供給を行うリチウムバッテリーとシーカー冷却用のアルゴンガスが内蔵されており、持続時間は4分で使い捨てである。 ジャベリンの最大の特徴は赤外線画像誘導により撃ち放し能力を得ていることである。ミサイルのシーカーには長波赤外線を利用した、64×64ピクセルのフォーカルプレーンアレイを有する赤外線画像シーカーが搭載されており、一度ロックオンすると目標を画像として認識し、自立的に目標に誘導される。そのため従来の対戦車ミサイルのように射手が発射後に誘導する必要が無いため、発射後速やかに退避することが可能となり、射手の生存性が向上している。装甲車両だけでなく固定目標や低空を飛行するヘリコプターも攻撃可能で、柔軟な運用が可能だ。 ミサイルの排気口にはTVC(推力偏向制御)ベーンが取り付けられ、発射直後の低速状態からでも素早く姿勢制御を行うことが出来る。 発射前のシーカー冷却に掛かる時間は10秒程度で、目標発見から照準、発射までに掛かる時間は約30秒といわれる。発射はまず射出用ロケットにより数m撃ち出されたあと、主ロケットモーターに点火する二段式で、射手の安全性を高めると共にバックブラストが減少しており、閉所からの発射も可能となっている。 ▲ミサイル断面図(赤い部分が炸薬) 欠点としては携行ミサイルにしては総重量が22.5kgと重いため2人で運用しなければならない点と、シーカー冷却のため発射までに掛かる時間が状況によってはかなり長くなるという点が指摘されている。
01式軽対戦車誘導弾 01式軽対戦車誘導弾は84mm無反動砲の後継として開発された国産携行対戦車ミサイルである。別名ATM-5で、通称「軽MAT」と呼ばれている。外観や仕様を考えるとジャベリンによく似ているが、細かい部分で異なっていたり日本独自の新技術も導入された。1993年より川崎重工を主契約として開発が開始され、2001年に正式採用された。 構造はジャベリン同様使い捨て式の発射筒とミサイル本体からなる部分と照準機部分で構成されている。また、ここに載っている画像には写っていないが夜間用照準機があり、照準機部分の上部に付く。これら全て合わせても17.5kgとジャベリンやイスラエルのSpike LR/MRなどの類似のシステムと比べても軽量で、一人での運用が可能となっている。 ▲前後に発射筒保護用の発泡スチロールが取り付けられている このミサイルの特筆すべき点としては世界で初めて非冷却型画像赤外線センサーが採用されていることである。冷却時間が必要なくなったことで即応性が大幅に向上しており、また国産ミサイルとしては初めて撃ち放し能力を得ている。 またこれも国産ミサイルとしては初めてノズル部に推力偏向ベーンが搭載されており、発射直後からハイレートクライムを行いトップアタックを仕掛けることが可能。対戦車攻撃用のダイブモードの他に、近距離時や固定目標などを狙う際に使用する低伸弾道モードがある。 弾頭には国産ミサイルとしては初めてタンデムのHEAT弾頭が搭載され、ERAの上から目標を突破可能である。 発射時にはまずミサイル後部のロケットブースターにより射出後、サイドスラスタを有するメインロケットモーターに点火する二段式のため、バックブラストも掩蔽や屋内から発射可能なレベルとなっており、軽装甲機動車のルーフ上で運用されることも多い。 ▲軽装甲機動車から構える陸自隊員
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