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MLRS

MLRS
MLRSはMultiple Launch Rocket Systemの略で、日本語で多連装ロケットシステムのことである。MLRSはM270発射機、M26ロケット弾、FCSで構成されている。M270発射機は、M2ブラッドレー装甲車をベースとし、車体後部にボックス型の旋回式発射機を搭載しており、M26ロケット弾を6発を収容するコンテナを二基搭載している。
コンテナ搭載中

M26ロケット弾は対装甲、対人、対物効果を併せ持つM77子弾を644発収容しており、目標上空でタイミング良く散布され、およそ200m×100mの範囲に被害を与える。最大射程は32km。
M26ロケット弾

M77子弾は上部に付けられているリボンで姿勢を安定させ弾着時衝撃で起爆し、成形炸薬により約4センチまでの圧延鋼板を貫通、破片を撒き散らす。しかしM77子弾は不発弾の発生率が高く、約2〜5%の確率で不発するため、クラスター爆弾共々問題となっている。
M77子弾
MLRSはこのM26ロケット弾12発を1分間で発射することが可能で、従来の自走砲等とは異なり、短時間で広範囲を制圧することが出来る。12発のM26ロケット弾がばら撒く子弾は7728発におよび、最大で240000平方メートル(東京ドーム5個分)に被害を与える。湾岸戦争時にはイラク兵から鋼鉄の雨と呼ばれ恐れられたほどである。
陸自のMLRS
MLRSはアメリカの他にイギリス、フランス、ドイツ、イスラエル、イタリア、オランダ、ギリシャ、デンマーク、トルコ、ノルウェー、韓国などで使用されている。陸上自衛隊でもMLRSを配備しているが一両約20億円となかなか値段が高く配備数は多くない。

ATACMS発射-炸裂の瞬間
M270発射機からは長距離戦術地対地ミサイルのATACMSも発射可能で、湾岸戦争では射程160kmのブロックTが使用された。ATACMSはINS(慣性航法システム)によって誘導されるミサイルであり、後にGPS(全地球測位システム)も追加された。無誘導のM26ロケット弾と比べると、射程・命中精度共に大幅に向上している。

M270にはATACMS地対地ミサイルを2基搭載することが可能で、弾頭部にはテニスボールのようなM74子爆弾が950個収容されている。ATACMS地対地ミサイル一発で約500平方メートルの範囲に被害を及ぼす。

発展型として射程を330kmにのばしたブロックTA、誘導爆弾を13発積んだブロックU、射程を伸ばしたブロックUAなどがあり、現在では射程500kmのブロックVBが開発予定である。


Photo
U.S.Army
JGSDF
Lockheed Martin Aeronautics Company



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