航空自衛隊がAIM-9Lサイドワインダーの後継として使用するために開発された純国産短距離空対空ミサイルであり、通称AAM-3。1986(昭和61)年から三菱重工業において開発が始められ、1990(平成2)年に正式化され量産が開始、1993(平成5)年から部隊配備された。 サイドワインダーとよく似ているが、切り欠きの入った動翼が特徴的で、内側には小さな固定翼がある。AIM-9Lと違い、この4枚の動翼は電動アクチュエータによりそれぞれ独立して動作する。また、サイドワインダーではロール制御をローレロンで行っていたが、AAM-3では内蔵されたレートジャイロをもとに動翼によって制御しており、旋回時に最適な角度にバンクして旋回することでAIM-9Lより優れた機動性を有している。 シーカーには赤外線と紫外線を用いたNEC製の2色シーカーが用いられており、ノイズ除去回路と組み合わされることで、フレア耐性が従来の赤外線誘導に対して非常に高いと言われている。フレアの温度は一般的に2300℃程度と高いため、赤外線、紫外線共に多量に放出するが、航空機は650℃程度なため、紫外線の放出量が少なく、2色シーカーでは紫外線の量によりフレアと目標の識別を行うことが出来るのである。シーカーの首振り角度もサイドワインダーより大きく、オフボアサイト能力も高い。 近接信管はAIM-9Lと同様にレーザーを用いた光学式で、こちらもNECが開発している。 このように様々な面でサイドワインダーに勝っているAAM-3だが、サイドワインダーの倍近い価格がネックとなっている。合計で2000発程度が調達され、現在の生産は後継の04式空対空誘導弾(AAM-5)にシフトされている。 ちなみに青色に塗られている物は空自では訓練弾(キャプティブ弾)であり、白色の部分のみが実弾と同様の物が使われている。 スペック
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