AAM-3の後継として開発された短距離空対空ミサイルで、1991年頃から開発され、2004年に正式化された。ソ連のR-73短距離空対空ミサイルがサイドワインダーなどを凌駕する優れた性能を持っていたために、西側各国が次世代短距離空対空ミサイルを作ることとなり、日本もこのミサイルを開発することとなった。 誘導には赤外線フォーカル・プレーン・アレイの多素子シーカーを採用した赤外線画像誘導が採用されており、従来より温度検知能力が高く捕捉距離が増加し、フレアによる妨害にも高い耐性を持っている。 ▲空自最新の空対空ミサイルとなるAAM-5(訓練弾) ▲AAM-3と違い長い主翼を有しており、中央には重心マークも見える。 ▲推力偏向ベーン さらに、光ファイバージャイロ(FOG)による慣性誘導ユニットを搭載しているため「シーカーの捕捉範囲外から発射し目標に近づいた所でシーカーを作動させる」という発射後ロックオン(LOAL)が可能となったことにより最大射程距離が今までの短距離空対空ミサイルの3〜5倍となり、HMDを利用したヘルメット装着式照準装置との組み合わせにより視界内ほぼ全周への攻撃が可能となる。 現在は近代化改修を行ったF-15Jのみで運用されているが、将来的にはF-2でも運用可能となる予定で、飛行開発実験団所属のF-2のランチャーを改修し試験を行っている。また、インターフェイスはAAM-3との互換性があり、完全な能力は発揮できないがAAM-3を運用できる機体であれば搭載することが可能である。 平成23年度からはAAM-5の改良型としてAAM-5(B)が開発されている。AAM-5(B)では空中給油機の導入によるミッション時間の延長に対応するため、シーカーの冷却時間を増加させている他、近年高性能化したフレアデコイに対向するためIRCCM能力のさらなる向上、雲などがあった場合の目標捕捉能力の低下を抑えるため背景識別能力を向上させている。 ▲発射試験の様子 スペック
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