IRIS-TはドイツのBGTが主導となってヨーロッパ各国と共同開発した次世代短距離空対空ミサイルである。2005年12月5日に最初のIRIS-Tがドイツ空軍に引き渡されておりその他にも、スウェーデン、ギリシャ、イタリア、ノルウェー、オーストリア、スペインで採用が決定している。 当初西ドイツではイギリスと共同で短距離空対空ミサイルのASRAAMを開発していたのだが、開発途中で東西ドイツが統合し、それと共に当時東ドイツに配備されていたR-73短距離空対空ミサイルを入手することとなる。それによってR-73が非常に高い性能を持っていることが分かり、それに対抗出来うるミサイルを独自開発することとなった。 そうして開発されたIRIS-Tは概ねサイドワインダーの技術を流用しているが、その性能は従来のサイドワインダーを凌駕する能力を持っている。 サイドワインダーでは前方のカナード翼による前翼操舵で、固定式の後部フィンを備えるという形だったが、IRIS-Tではカナード翼は無くなり、後部フィンによって操舵を行い、固定式の長い主翼により揚力を発生させ、旋回性能を高めている。 排気口には推力偏向用ベーンが取り付けられ、全遊動式の尾翼との組み合わせにより最大60°の迎え角で60Gの機動が可能となり、発射後180度ターンなど、非常に高い機動性を得ることに成功した。 ▲TELLシーカー さらにノースロップ・グラマン社製の慣性誘導ユニットも搭載されたことで、発射後ロックオン(LOAL)も可能となり、ヘルメット装着式キューイングシステムとの組み合わせによって従来とは比べものにならない交戦範囲を得ている。これは見える範囲の敵は全て攻撃可能であることを示しており、例えば肩越しの敵に攻撃することも可能だという。 近接信管はレーザー式のAIM-9などと違いKuバンドのレーダーを用いた電波式である。また、インターフェイスはサイドワインダーと完全な互換性を持っており、西側の大抵の戦闘機で運用することが出来る。 バリエーションとして地上発射型のIRIS-T SLや潜水艦発射型のIDASが開発されている。 スペック
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