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RPG-7 対戦車ロケット

RPG-7

RPG-7は旧ソ連が開発した携行型対戦車ロケット発射機で、世界で最も普及している対戦車兵器である。ロシア語で「対戦車擲弾発射筒」を意味する言葉の頭文字をとってRPGと名付けられた。構造が単純なRPG-7は中国や東欧諸国にてライセンス生産またはコピーによる大量生産が行われ、世界中に拡散していった。安価で取り扱いも簡単なため、現在でも発展途上国はもとよりゲリラやテロリストなどにAK-47と並んで幅広く使用されている。本来の対戦車用途だけでなく、塹壕や軽装甲車両、時にはヘリコプターへの攻撃など様々な用途に使用されている。

RPGの開発は第二次世界大戦中にドイツが開発した対戦車擲弾筒「パンツァーファウスト」が元となっている。パンツァーファウストは簡単なオープンサイトを取り付けた鉄パイプに発射薬を装填し、先端にHEAT弾頭を取り付けただけの使い捨て式無反動砲である。簡単な構造で誰でも使える兵器ながら、当時のほとんどの戦車を破壊可能で、連合国軍はかなり苦しめられたという。
RPG-7

これに目を付けたソ連では大戦後にパンツァーファウストをコピー生産してRPG-1として採用し、1940年代後半には発射薬の強化と弾頭に折りたたみ式フィンを取り付けることで射程や命中精度を向上させたRPG-2が開発された。RPG-7はRPG-2を発展させ、ロケット推進弾頭とし、射程や命中精度を向上したもので、発射機もオープンサイトに加え脱着可能な光学望遠照準機(スコープ)を装備し、発射筒に断熱被筒が取り付けられた。後にオプションとしてアクティブIR式暗視装置や微光暗視装置を使った照準機も開発されている。

RPG-7
▲RPG-7発射機とPG-7VM弾頭
こうした経緯で開発されたRPG-7は通常のロケットランチャーとは違い、無反動砲の要領で発射後、射手から10m程度の位置で弾体のロケットモーターが点火する。発射時には反動を押さえるために、バックブラスト(後方噴射)が発生するため、一度発射するとすぐ発見されてしまうと言う欠点を持つ。発射後は4枚の安定翼が展開し、回転しながら直進飛翔する。ロケットモーターは500m程度まで動作し、900mまで飛んでも命中しなかった場合自爆する。射程は150〜300mとされているが、横風の影響を受けやすいため、実質的な有効射程は100m以下となる。スコープの倍率は2.7倍だが、有効射程の短さもあり、オープンサイトが多用されるようだ。

RPG-7
▲PG-7V弾頭
最も普及している弾頭が初期に開発されたPG-7Vで、直径85mm、重量2.2kg、HEAT弾頭によりRHA(均質圧延装甲)換算で260mmの装甲貫徹力を持っている。現在の戦車に対しては正面装甲を貫通することは不可能で、攻撃力不足は明らかである。それでも戦車上面や側面、エンジングリルなどの弱い部分に当てれば十分行動不能にさせることが可能で、運が良ければ破壊することさえも可能であり、都市戦闘の多い現代戦の脅威となっている。
RPG-7
▲RPG-7を担ぐイラク治安部隊隊員

海賊で話題となっているソマリアでは1基2万円程度で取引されていると言われており、AK-47と共に海賊が装備している事が多いという。ちなみに日本でも試験用に弾頭とRPG-7発射機を1基あたり23万円で50基購入しており、TK-Xの装甲を開発する際に使用された。

余談だが2007年にトリビアの泉という番組でこのPG-7V弾頭を防弾ガラスに当てるという実験を行った所、50mmの防弾ガラスを貫通したが、100mmの防弾ガラスを貫通することが出来なかった。防弾ガラスはガラスにポリカーボネートなどを何層にも積層した一種の積層装甲であり、ガラス自体もセラミックの一種で、徹甲弾よりも成形炸薬弾に対しての防御効果の方が有効と考えられ、このような結果になった物と思われる。(信管の動作不良だったという説もある)
弾頭バリエーション
RPG-7
▲PG-7VM弾頭断面
PG-7VMはPG-7Vの改良型で直径70mmと若干細くなっているが、装甲貫徹力は300〜320mmと上昇している。ロケットモーターも強化され、弾速も向上しているという。重量1.98kg。

RPG-7
▲PG-7VL弾頭
PG-7Vの弾頭を大型化し攻撃力の強化を図ったのがPG-7VLである。装甲貫徹力はRHA換算で500mmと、PG-7Vの約2倍の貫徹力を有する。直径93mm、弾頭重量2.6kg。

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▲PG-7VR弾頭
PG-7VRは爆発反応装甲(ERA)を突破するために弾頭を二重にしたバージョンで、見た目も特徴的なためすぐに判別出来る。先頭の弾頭でERAを起爆させ、主弾頭で装甲を貫通する。装甲貫徹力は目標がERAを装備していてもRHA換算で600mm、ERA無しなら750mmの貫徹力を持っており、RPG-7の対戦車弾頭の中では最も強力な物である。直径105mm、弾頭重量2.9kg。

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▲TBG-7V弾頭
TBG-7Vは弾頭にサーモバリック弾頭を搭載した、市街地戦用対人弾頭。半径10mに被害をもたらす。弾頭直径105mm、重量4.5kg。

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▲OG-7V弾頭
OG-7VはHE弾頭を持つ対人用の擲弾。ロケットモーターを持たない、まさに普通のグレネード弾で、殺傷半径は7m。直径50mm、弾頭重量1.76kg。


Photo
U.S. Department of Defense

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