ミーティアはヨーロッパ6カ国による共同開発のアクティブレーダー誘導式長距離空対空ミサイルである。開発はヨーヨッパ共同出資の軍事企業マトラ・BAEダイナミクス社(MBDA)によって行われており、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデンが出資している。 ロシアのラムジェット式BVR空対空ミサイルであるR-77PDに対抗出来る性能と、高度なECM環境下でも20〜80kmでの同時多目標迎撃能力を備えることを目標に開発されている。 ▲タイフーンに搭載されたミーティア このミサイルの特徴は推進機関としてラムジェットエンジンの一種である推力可変ダクテッドロケット(TDR)搭載したことにより、AMRAAMと同程度のサイズながら100km以上の射程を実現しているところにある。 ダクテッドロケットが通常のラムジェットエンジンと違うのは、液体燃料ではなく固体燃料を使用している点である。ただし、使用する固体燃料は通常のロケットモーターと比べ酸化剤が半分以下しか含まれておらず、ガスジェネレータ内で不完全燃焼させてガスを発生させ、そのガスをインテイクから取り込んだ空気と混合し燃焼させ推力を得る。 ラムジェットエンジンは構造上マッハ2〜5程度でしか動作しないが、ミーティアでは予め燃焼室に固体燃料が装填されており、発射直後は固体ロケットブースターにより加速、その後同じ燃焼室を利用してラムジェット推進で飛翔する。 固体ロケットモーターでは一度点火すると推力を制御することが出来ないが、ダクテッドロケットではガスジェネレータのバルブによりガス流量を調整し速度をマッハ2.5〜マッハ4に制御して飛翔する。 ▲内部構造図 ダクテッドロケットによりミサイルは非常に高速で飛翔するため、安定用のフィンなどが無いリフティングボディを採用しており、飛翔制御は後部の全遊動式尾翼のみで行われる。 誘導方式はAMRAAMと同様で中間誘導が慣性誘導+データリンクによる指令誘導、終末誘導が内蔵レーダーによるアクティブレーダー誘導である。データリンクによるアップデートは発射母機だけでなく僚機やAWACSなどに引き継がせることも出来るため、発射母機は完全な撃ち放しが可能。 燃料に酸化剤をほとんど含まない代わりに、空気を酸化剤として利用するため、通常のロケットモーターと比較して2〜4倍の燃料効率を持っており、ミーティアでは長距離の高速飛翔が可能となった。そのため終末誘導段階での回避不能範囲がAMRAAMの3倍と言われており、従来のBVR(目視外射程)空対空ミサイルに比べ非常に命中精度が高いという。 スペック
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