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携行地対空ミサイル


FIM-92 Stinger
スティンガー
FIM-92スティンガーは米国がFIM-43レッドアイの後継として開発した携帯式地対空ミサイルである。FIM-43レッドアイは世界初の携帯式地対空ミサイルであったが、IFFが無かったり、ミサイルの性能が低かったため、装備開始から二年後の1967年から後継のFIM-92が開発されることとなった。

スティンガーはミサイル本体の収納された使い捨て式発射筒、グリップ・ストックと呼ばれる再利用可能な発射装置、冷却用ガスとバッテリーが一体化したユニット(BCU)、ケーブルで接続されたIFF装置から構成される。ミサイルは後部ブースターによって発射機から10m程度発射され、その後メインのロケットブースターに点火する二段式となっており、射手の安全性が確保されている。ロックオン時に目標を一定時間捕らえ続けることで、ミサイルに迎え角とリード角情報が送られ命中精度が上がるが、BCUの冷却持続時間は45秒である。なお、命中しなかった場合は一定時間後に自爆するようになっている。
スティンガー

誘導方式は初期型のFIM-92Aでは赤外線誘導だったが、FIM-92Bからは赤外線と紫外線を用いた2色シーカーを用いており、デジタル信号処理ユニットによりフレア耐性も非常に高くなっている。発射前にアルゴンガスによってシーカーを冷却するため感度が高く、敵機前方からでもロックオンすることが出来るようになった。パッシブホーミングの撃ち放し式ミサイルなので射手は発射後即座に安全な場所に退避することが出来る。

FIM-43レッドアイでは3G程度の機動性しか無く、攻撃された側は旋回するだけで回避することが出来たが、スティンガーでは飛翔コースが比例航法(目標の未来位置を予測し飛翔する)になりミサイルの機動性も上昇したため8Gの旋回を行う敵機も撃墜可能となり、信頼性が大幅に向上している。

1980年代のソ連によるアフガン侵攻時に抵抗勢力側に非公式であるが大量に供与され、その高性能ぶりを発揮、多数のソ連軍攻撃ヘリを撃墜し一躍有名になった。

スティンガーはその後も様々な改良がなされ、1995年からは最新型のFIM-92Eが導入されている。FIM-92Eではセンサーやソフトウェアが改良されており、より高いIRCCM(対フレア)能力や命中精度の上昇等が図られ、UAV(無人偵察機)や巡航ミサイルさえも撃墜可能となった。

その後開発されたFIM-92Eブロック2ではAIM-9Xの物を利用したと思われる128×128ピクセルの画像赤外線シーカーを搭載し、捕捉距離が約1.7倍に向上、より優れたIRCCM能力を有していると言われていたが、開発の遅れなどにより2002年にキャンセルされてしまった。

アヴェンジャー防空システム
▲後方に見える車両がアヴェンジャー防空システム
バリエーションとしてハンヴィーに四連装ポッドを二基搭載したアベンジャー防空システムや、M2ブラッドレー装甲車に四連装ポッドを搭載したM6ラインバッカーなどが存在している。その他にも空対空型スティンガー(ATAS)があり米陸軍のOH-58D観測ヘリコプターや日本のAH-64Dアパッチなどで運用されている。
これらのシステムでは冷却ユニットの持続時間の制限がないため、非常に即応性に優れた対空システムとなっている。
製造 レイセオン
ゼネラルダイナミクス
ミサイル全長 1.52m
ミサイル全幅 9cm
ミサイル直径 7cm
ミサイル重量 10.1kg
発射重量 15.7kg
誘導方式 FIM-92A:赤外線
FIM-92B以降:赤外線+紫外線
FIM-92E ブロック2:画像赤外線
最大射程 4.8km
8km(FIM-92E ブロック2)
最大射高 3.8km
飛翔速度 マッハ2.2
単価 $33,000(1990年度)

91式携行地対空誘導弾
91式携行地対空誘導弾

91式携行地対空誘導弾は東芝が開発した国産携帯型地対空ミサイルで、自衛隊版スティンガーとも言うべきものである。別名SAM-2で、ハンドアローという愛称があるがほとんど使われることはなく、通称「携SAM」と呼ばれている。外観も発射機、ミサイル共にほぼスティンガーだが、前方のIFFアンテナの形状が微妙に違っている。自衛隊ではFMS(有償軍事援助)によりFIM-92Aスティンガーを導入したが、供給に不安があったため1983年より本ミサイルの開発を開始し、1991年に正式採用された。
91式携行地対空誘導弾

91式携行地対空誘導弾のスティンガーには無い特徴として、可視光CCDによる画像誘導が採用されている点がある。これはミサイル先端のCCDカメラによって人間と同じように目標を「形」として捕らえて追尾するため、フレアによる妨害にもほとんど影響を受けない。もちろん発射後に射手が誘導する必要がない打ち放し式なため、射手は発射後即退避出来る。ただ、この方式は夜間や悪天候時に使用不可能という欠点があるため、補助用の赤外線シーカーも備えている。だが、IRシーカーはあくまで補助用なためこれだけでは精度はスティンガーに劣る物と考えられる。

この欠点を解消すべく、2007年からシーカーの変更や命中精度の向上などが図られた改良型が調達され始めた。改良型の91式携行地対空誘導弾ではこの手のミサイルとしては初めて赤外線フォーカル・プレーン・アレイの多素子シーカーによる赤外線画像誘導が用いられており、夜間や悪天候時でも最大限の能力を発揮出来るようになった。
93式近距離地対空誘導弾
▲93式近距離地対空誘導弾

バリエーションとして観測ヘリコプターOH-1に搭載し空対空ミサイルとして運用したり、高機動車に四連装ポッドを二基搭載した93式近距離地対空誘導弾がある。ちなみにこの93式近距離地対空誘導弾にもクローズドアローという愛称があるがほとんど使われず、通称「近SAM」と呼ばれている。

製造 東芝
ミサイル全長 1.47m
ミサイル直径 8cm
ミサイル重量 11.5kg
発射重量 17kg
誘導方式 可視光画像誘導+赤外線
画像赤外線(改良型)
射程 5km
飛翔速度 マッハ1.9
単価 $145,000(18年度)

Photo
U.S.Department Of Defence
U.S.Army
Raytheon
JGSDF


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