F-14トムキャットはF-4の後継機として米海軍のVFX(海軍次期主力戦闘機)計画で開発された艦上戦闘機である。日本でも映画「トップガン」で活躍した戦闘機として有名である。 F-14開発前に挙がっていたプランは二種類あり、一つはF6Dミサイリアー、もう一つは空軍との一元化を目指したF-111Bが候補に挙がっていた。F6Dミサイリアー計画では、長射程空対空ミサイルXAAM-N-10イーグルを搭載した艦隊防空専用の戦闘機を開発する計画だった。この計画は対費用効果が悪いためキャンセルされたが、長射程ミサイルを運用するという考え方はF-14にも引き継がれた。 F-111Bは空軍のF-111を艦上用に改造したもので、XAAM-N-10イーグルの他にAIM-54フェニックスミサイルとAN/AWG-9レーダーを搭載することになっていたが、あまりに重量が増加したため海軍の要求を到底満たすことが出来ないと判断しキャンセルされた。海軍はF-111Bがキャンセルされる直前にVFXの提案要求書を5社に提示し、艦載機開発に定評のあるグラマン社の案が採用されF-14として正式採用された。 F-14大きな特徴としてその可変後退翼が挙げられる。後退角は20〜68度の間で自由に可動し、速度によって自動的に最適な後退角になるよう制御されている。これにより高いSTOL性能と優れた高速性を得ている。しかし可変翼の欠点として複雑な構造による重量増加と、それを回避するための軽量化による機体強度不足が発生する。さらに整備性も悪いため、現在では可変翼機は極めて少数である。 もうひとつF-14を語る上で欠かせないのが長射程AAM AIM-54フェニックスとそれを運用するためのAN/AWG-9レーダーである。 AIM-54フェニックスは有効射程160kmという米軍の使用する空対空ミサイルとしては最長射程を誇るミサイルである。AN/AWG-9はこいつを発射するために作られたようなものであり、パルスドップラー方式とモノパルス方式を組み合わせた物で、戦闘機程度の目標なら200km以上の距離で探知する。F-14は同時多目標処理を初めて実用化した機体でもあり、AN/AWG-9レーダー、FCSとフェニックスの組み合わせにより約160kmの距離で同時24目標を自動追尾し、そのうちの6目標にフェニックスによる同時攻撃を掛けることが可能である。 もちろんF-14はフェニックス以外にもAIM-7スパローやAIM-9サイドワインダーの運用も可能であるが、AIM-120AMRAAMの運用は行われなかった。 ▲フェニックスを発射するF-14 F-14はフェニックスを6発搭載することが出来るが、その状態で着艦することが出来ないため、通常4発搭載する。ちなみにフェニックスは実戦で一回だけ発射されたが、射程ぎりぎりだったため命中していない。 ▲上がF/A-18E、下がF-14D 米海軍ではF-14は2006年9月22日をもって全機退役し、F/A-18E/Fスーパーホーネットへ全機転換された。今でもファンが多いためF-14は退役が惜しまれている。 派生機 F-14B エンジンをF110-GE-400に換装し、GPS慣性航法装置とLANTIRNポッドの運用能力を付加、これによりレーザー誘導爆弾の運用が可能となっている。通称ボムキャットと呼ばれる。 F-14D F-14DはF-14BからレーダーをAN/AWG-9の発展型であるAN/APG-71に換装した物で、それに合わせてFCSも換装されている。Su-27等にも搭載されているIRST(赤外線捜索・追尾システム)のAN/AAS-42が搭載され、目標補足能力が向上している。通称スーパートムキャット。 スペック(F-14D)
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